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【日中を翔る】日中の心を結ぶ「言葉の真実」を求めて ――通訳者・周瑞樹の矜持

【日中を翔る】日中の心を結ぶ「言葉の真実」を求めて ――通訳者・周瑞樹の矜持

「通訳とは、単に言葉を置き換える作業ではない」。そう静かに、しかし確信を持って語るのは、通訳者として30年以上のキャリアを持つ周瑞樹(しゅう・ずいき)さん。的確かつ分かりやすい通訳で、日中関連のイベントでは常連の人気通訳者だ。
通訳をする周さん

外国語エリート教育を受ける

彼女の歩みは、中国でも極めて稀なエリート教育の場から始まった。当時、外国語を重点的に勉強できる中学・高校は全国に8校しかなく、一校当たり80人の狭き門であった。周さんはそのうちのひとつ「天津外国語大学付属中学校」に入学。習得が難しい言語である日本語クラスには成績優秀者である20名が配属になった。その後、名門・南開大学への進学を経て、当時のダイエー会長中内功氏が手掛けていた日本への留学試験に応募して1991年に神戸へ留学。流通科学大学で学んだ。選ばれし才能に甘んじることなく、異国の地でさらなる研鑽を積むこととなる。
日中パンダ繁殖プロジェクトに通訳として参加

現場で貫く「情報の裏取り」という誠実

周さんのプロフェッショナリズムを象徴するのが、徹底した「裏取り」の精神である。かつてテレビ局の仕事で、コロナ禍の中国で警察に連行される中国人女性のニュースを扱った際のことだ。センセーショナルな映像に流されることなく、彼女は自ら事実関係を徹底的に調査した。背景にある事情や情報の正誤を精査し、安易な誤報が日中関係の亀裂を深めることを未然に防いだのである。「責任感と愛情を持って、人間が自ら動かなければならない」と彼女は語る。
その妥協なき姿勢は、「上海・長江交易促進プロジェクト」、「日中パンダ繁殖プロジェクト」など数々の国家級プロジェクトでも発揮された。川崎重工業で12年間、中国大陸の高鉄(新幹線)や台湾の地下鉄プロジェクトに携わり、膨大な専門用語を習得するために深夜まで独学を続けた。また大学や大学院では実践的な経営学を学んできた。通訳の場でもクライアントである経営者の視点で臨み、日中ビジネスを根底で支えてきた。2015年からは医療通訳の分野の勉強を始め、最近は特に再生医療の最前線で医療通訳者として活躍している。そこでも「一秒の通訳のために五、六時間の準備を惜しまない」という執念は変わらない。
通訳をする周さん

結実する「ALL WIN」の理念

54歳という年齢を感じさせない若々しさとエネルギーに満ちた彼女だが、その歩みは平坦ではなかった。過酷な労働で心身を削った時期を乗り越え、現在は再生医療の普及や、スピーチコンテストで教え子を次々と優勝させる「勝たせる講師」としても活躍している。
彼女が活動の指針として掲げるのは、「地道な努力、向上心、誠心誠意、ALL WIN」という四つの理念である。
「言葉によって人生が変わり、社運や国運さえも変わることがある」。
自ら愛情を込めた言葉を紡ぎ、関わるすべての人々が繁栄する「ALL WIN」の世界を目指す。周瑞樹という通訳者の存在は、日中両国の平和と発展を繋ぐ、強固でしなやかな懸け橋そのものである。(写真/周瑞樹さん提供)

瑞樹通訳事務所 代表周瑞樹
電話:090-9093-0948
zhouzhe1919@yahoo.co.jp
青柳流詩舞、関西吟詩、生け花など日本文化にも造詣が深い